2017年4月28日金曜日

給与の立て替えシステムは貸金業法になるのか

賃金の前払いシステムが最近注目されています。

貸金業法は、これまで、会社から従業員への貸付けについては、貸金業法の対象外としてきました。貸付けといいながら、給与の前借りでもあるからです。

給与の前借りは、計算がとても面倒で、これまでも敬遠されてきました。

しかし最近、給与前払いについて、第三者企業に委託をして簡単に行えるようにし、福利厚生の一つとして利用されてきました。

最近だと、さくら情報システムの「即給」などが有名ですね。
https://www.sakura-is.co.jp/solution/ps-000-038.html

ただこれ、実質的に貸金業法に反しないのでしょうか。

会社から従業員への純粋な貸付けであれば、貸金業法の対象外となります。
これを、第三者のシステムを使ったからといって、その貸付けの性質が異なるわけではないので、貸金業法には違反しないでしょう。

問題は、前払いするお金が、そのシステムを供給している企業で用意しているような場合です。
その場合、システムを供給している企業が、会社に対して、お金を貸している構図となってしまいます。そのため、そのシステム供給会社は貸金業法に違反しているという結論となりそうです。

なお、会社が勝手に貸付金を従業員の給与から天引きすることは許されません。「相殺合意」といって、会社が従業員との間で、相殺するということについて合意書を交わすことが必要となります。

便利な世の中で、どこかで割り切りが必要になるかと思いますが、弁護士のチェックにより、細かい部分まで配慮できると良いかもしれません。


弁護士 杉浦智彦
https://keiyaku-check.pro

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